飲食店をレビューするサイトやブログを書く時に注意すべきこと
様々な商品・サービスに関する批評や意見が掲載される口コミ・レビューサイトは、事前に情報を確認でき非常に便利です。しかし多くの人が利用する故に、書き方次第では名誉棄損罪や営業妨害罪等に問われることもあるのです。今回は、飲食店をレビューするサイトやブログを書く時に注意すべきことを具体的に解説していきます。
目次
飲食店をレビューするサイトやブログを書く時に注意すべきこと
近年、企業や人、商品等の情報や消費者による批評が掲載された口コミ・レビューサイトが広く使用される様になりました。しかしその影響力故に書き込みがトラブルに発展することもあるので注意が必要です。
事実を投稿する
一般的にレビューサイトでは実際に商品やサービスを利用した人によって批評や意見等が投稿されサイトの閲覧者はそれを購買の判断材料にします。従って大前提として事実に即した内容を投稿することが重要です。
批判してはいけない訳ではない
閲覧者は実際に購入して後悔しない為にサイトをチェックする訳ですから口コミサイトは商品への称賛・批判の両方が掲載されることで存在価値があると言えます。従って、否定的なレビューを投稿すること自体は問題ありません。法律的観点に照らしても例え相手方の社会的評価を下げる意見であっても表現の自由との兼ね合いから違法にはなるわけではありません。
トラブルなった事例があるが違法性は認められていない
実際にレビューがトラブルに発展したケースとしては、2012年に飲食店をレビューする“グルメサイト”の大手「食べログ」に料理がまずい・配膳が遅い旨をレビューとして書き込んだ投稿者が店に当該コメントの削除と損害賠償を請求された事例がありますが裁判所は「店側の要求を認めればサイトの利用者からの情報が恣意的に制限されることになるので到底認められない。飲食店を経営する以上社会的に妥当な口コミであれば損失があっても受け入れるべき」等とし、最終的には投稿者が勝訴しました。
飲食店の口コミ・レビューにおける法的なポイントは
この様に一般的に口コミサイトは“一個人の意見”を書き込むものであるため、いくら悪評が呈されていたとしてもそれを罪に問うことは難しいと言えます。しかし書き込み内容次第では名誉棄損や営業妨害等の罪に問われることがあります。
違法なレビューとの線引きは
レビューに違法性があるか否かの判断基準はが「公益を図る目的があるか」「意見の前提とした事実が、真実と認められる或いは真実と信じたことに相当な理由があるか」「正当な意見を逸脱した表現になっていないか」にあります。では法律的に違法となるのは、具体的にどのようなケースなのでしょうか?
単に「まずい」と書き込んだ場合
実際にお店を利用したユーザーからの味の感想はレビューサイトの閲覧者の役に立つので「公益を図る目的がある」と言え、違法にはなりません。しかし競合他社を貶める為に恣意的に悪評を書き込んだケース等、場合によっては名誉棄損罪や営業妨害罪になることもあります。
虚偽の内容を書き込んだ場合損害賠償請求される可能性も
注意せねばならないのは虚偽の情報や憶測を書き込んだ場合です。例えば「メニューには国産牛と書いてあったが実際は中国産だった」或いは「料理に虫が入っていた」等、事実でないことをまことしやかに書き込んで店の社会的評価を不当に貶めた場合等悪質なケースでは、レビューの削除や訂正を求められるのはもちろん、営業妨害や名誉・信用の棄損として損害賠償請求される可能性もあります。
陥りがちなレビューのNGパターン
一方、ネガティブなものでなくとも投稿が問題となるケースがいくつか存在します。ここではその内やってしまいがちな行動と注意すべき点を解説していきます。
無闇に写真を撮らないこと
近年料理の写真をSNS等に投稿する人が増えていますが、中でも大流行している写真共有SNS“Instagram”には飲食店で撮影したと思しき料理の写真が頻繁に見受けられます。基本的に料理には著作権はありませんが店側が禁止している場合等は撮影しないほうが良いと言えます。料理の写真をアップロードしている人は気をつけましょう。また店の外観や内装を無断で撮影するのもよくありません。特に店舗が凝ったエクステリアの外装やこだわりのある内装をウリにしている場合等は著作権の侵害になる可能性があります。写真を撮る際は許可を取ってからにしましょう。加えてスタッフを無断で撮影することは「肖像権」の侵害になります。来客を無断で撮影してはいけないことは言うまでもないでしょう。
非公開のサービスに対する断定的な表現は避けること
店が実際に行っている公表のキャンペーン等についてコメントする分には問題ありませんが「この店は常連になるとトッピングをおまけしてくれる」等、一般的に公表されていないサービスを断定する表現で書き込むことは避けるべきでしょう。後々店に迷惑がかかったり、トラブルに発展する可能性があります。
低くレビュー評価する際の注意点
低い評価を書きこむ際には特に注意が必要になります。一般的に対面での批判ならば客と何らかの会話が交わされるのでフィードバックとしてそこから改良に役立てることも可能ですが、レビューサイトでは悪評なら批判一辺倒になりがちで建設的なやり取りがなされることはないのです。
単なる誹謗中傷にならない様に気を付けることが大切
口コミサイトはレビュアーによって評価が下されます。その際、仮に料理がまずい、あるいは接客態度が劣悪と感じても主観でお店の悪口ばかりを書き込まないことが大切です。
主観に終始しないことがベター
口コミサイトはレビュアーによって投稿された評価で成り立っています。しかし感じ方はそれぞれ、殊に飲食店のレビューサイトともなれば猶更で薄味が美味しいと感じる人もいれば濃い味付けが好きな人もいるのです。勿論表現の自由があるので違法にはなりませんが悪評を付ける際はただ単に「まずい」とするのでなく、「スープが塩辛い」或いは「肉が硬い」等料理の味や触感等を具体的に書き込むようにしましょう。
値段についても同様
また値段についても同じことが言えます。例えば日常的にファストフード店を利用していて親からお小遣いを貰っている中学生のグループが学校行事の打ち上げ等で利用する場合と、接待等で中華料理店や寿司店といった高級料理店に行く機会がある社会人が親睦会で利用した場合では、同じ店の同じ料理の価格に対しても感じ方に差があることは言うまでもありません。従って、明らかに暴利でない限り価格に対しての批判的なレビューはしないのが無難でしょう。
書き方にも注意が必要
またレビューの書き方も法的責任が発生するか否かに影響します。悪評を断定的に書き込むことは避けなければなりません。
フランスでは料理の提供が遅いこと等をとあるブロガーが書き込み21万円の賠償金支払いを命じる判決が下された事例があります。この例では「避けるべき店」としたことが問題となりました。百人いれば百通りの感じ方があります。悪いと決めつける様な書き方絶対にしない様にしましょう。
飲食店ので評価をレビュー、またはブログを投稿するときの心がけ
近年の“やらせ”の問題もありレビューサイトの信用性自体低くなりつつありますが、多くの人がいまだに利用しているのもまた事実なのです。この辺りことを考えてからレビューを投稿する必要があると言えます。
適切な内容か投稿する前に考える
レビューサイトに投稿する人は書き込めばそれで終わりです。しかし書き込まれた内容はほとんどの場合サイトに掲載され続ける為、店側は大きな影響を受けるのです。例え不愉快な思いをしても感情的にならず投稿前に投稿すべき内容か一旦考えるべきでしょう。
一度書き込みされれば消されることは少ない
店側としても対面での悪評ならその時嫌な気分をするだけで済みます。しかしいかんせんレビューサイトでの悪評は削除されるケースは少なく、不特定多数の人が閲覧することになる為被害が大きいのです。
書き込んだ内容が与え得る影響について考えてから
悪評がレビューサイト上に呈される問題は店側にとって更に深刻な事態をも引き起こします。従って、評論家気取りで安易に批判を書き連ねるのは避けた方が良いでしょう。
“潜在的な”顧客も失うことに
レビューサイトを訪れる人は基本的に評価の高い店の情報を求めていて、好き好んでわざわざサイト上で低評価を下されている店に行く人はいません。つまり否定的な意見が書かれていなければ“顧客になり得た”人も辛口コメントの存在によって失う可能性があるのです。勿論批評は自由ですが、悪評を投稿する際はここまで考えるべきでしょう。
店側にとっての精神的ダメージも大きい
レビューサイトで商品を貶されることは、匿名の相手から名指しで個人攻撃されること、即ち現在問題になっている“ネットリンチ”に等しく、販売側の心理的ショックは大きいことが容易に想像できます。また対応手段もなく一方的に批判されることで精神的に滅入る店主も多いと言います。
ガイドラインも設けられているが効果は薄い
こうした事態を憂慮してレビューサイトの中にはガイドラインが設けられているケースも少なくありません。ガイドラインに反した書き込みがされた場合、投稿主に書き直しを求める等の処置をとるものですが、多くの場合内容の修正には不服として法律にぎりぎり引っかからないグレーゾーンでの批判に書き換えるにとどまると言います。更にこういった規制の存在が今度は投稿者の「表現の自由」を侵害するのでは、との声も挙がっています。
批判的なレビューもあってこそレビューサイトの存在意義があると言え、否定的な内容を投稿すること自体は問題ありません。しかし特に料理のレビュー等では大きな風評被害も予想される為、不必要に悪評を並べ立てない様心掛ける必要があります。また虚偽の内容を投稿するのは絶対にやめましょう。