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ネットの炎上

  • 2017年03月06日 | 21,014view

ネット炎上から個人情報が特定されるまでの流れ

個人情報

不祥事発覚をきっかけに炎上が起きると、特定班の手で、問題の人物や場所について特定作業が行われます。情報は過去の投稿や関連アカウント、周辺人物の書き込みなどを辿って共有、拡散を繰り返し、あっという間にかなりの精度で暴かれます。もしもの時、安易に個人情報が流出しないよう日頃から設定や言動に注意しましょう。

ネット炎上で起こる個人情報の特定

「炎上」とは燃え上がるという意味から転じた言葉で、主にインターネットの世界において、不祥事発覚をきっかけに非難が殺到する状況を指します。

ひとたび炎上が起きると、ネット上ではその原因となった人物は誰かということや、その周辺状況や個人情報などを「特定」する作業が始まります。

ネット上にある様々な情報をもとに辿られていく

炎上から始まる個人情報などの「特定」は、法律的な特定作業とは全く別のものです。炎上の中心にいる人物が過去にSNSなどに書き込んだ内容やネット上で関係のあるアカウントなどを参考に、問題の人物は誰なのか、問題の場所はどこなのかを推測し、暴いていくのです。

匿名投稿でも関係ない

ネット上のサイトにはハンドルネームなどを自由に設定できるものが多数あり、そこでの書き込みは匿名性が高いと考えられているイメージがあります。それにより、自分が誰かを明かさずに意見を気兼ねなく発信できると思われている人もいるでしょう。

しかし実際は、偽名や匿名の書き込みであっても、それを書き込んだのがどこの誰かを特定することは可能です。発信者情報開示請求など、何か問題があった時には管理者に情報開示を求められる制度があるからです。

また、そんな手続きを踏まなくとも過去の書き込み内容などから推測して、学生か社会人か、仕事の内容、住んでる場所、勤務先といった情報まで、かなりの精度で特定されてしまいます。

複数のSNSアカウントを関連させて

複数のSNSやブログなどにアカウントを持っている場合、それらの過去の書き込みをつなぎ合わせ、情報を補強する材料に使われます。
たとえば、Facebookは本名でのアカウント公開が義務付けられています。Twitterでは匿名にしていても、Facebookと連動するような内容が1つでもあり同一人物だとわかると、Facebookの情報からTwitterの利用者を「特定」できます。また、本人だけでなく、関わりのある友人などの書き込みを見ることで、個人情報の詳細が明らかにされていくことも多々あります。

ネット上には探偵も驚く特定班がいる

SNSや掲示板などを日常的に利用しているネット民の中には、ありとあらゆる手段で個人や企業の情報を集め、拡散させる「特定班」と呼ばれる人たちが存在します。その特定能力はプロの探偵が見ても舌を巻くほど、精度が高いものです。

証拠保全をしながら調査

炎上が起きると、火元となる当人は問題の書き込みや関連する過去の内容を順次削除する傾向にあります。しかし特定班の有志はそれを上回るスピードで、SNSの過去ログ(書き込み履歴)調査を開始し、証拠保全をしながらログを辿っていくようです。

過去の書き込みからは当事者のさまざまな情報が見え、芋づる式に情報が出てきます。

Facebookでフルネームと誕生日を取得→ブログやTwitterで同名のユーザーを特定→家族構成や勤務先情報などまで斬り込んでいく……という具合です。

調査の進行は常に掲示板などで関連スレッドにアップされ、情報共有されながら、特定班の人たちは効率よく調べを進めていきます。

現地調査も行う行動力

特定班の動きはネット上だけに留まらず、ときに現地へ赴いての調査も行われているようです。某有名ゲームのキャラクターにちなんで「スネーク」と呼ばれています。
日本全国に潜むスネークの行動力、情報力は侮れず、時にマスコミより先に問題の人物や場所を特定してしまうこともあるほどです。

個人情報が特定されるまでの流れ

本当に恐ろしい、個人情報の特定と拡散。具体的にはどのような流れで進んでいき、どのくらいの時間で拡散されていくのでしょうか。
実際にあったとされる事例をもとに、ネット炎上において実際に個人が特定されるまでの流れをたどってみましょう。

ネット上で情報が拡散

この事例は、あるTwitterユーザーが1枚の写真に「◯◯の場所でマナー違反した輩がいます」とコメントを付けて投稿したものが、「確かにこれはマナー違反だ!」と共感した人たちによってリツイートされ、拡散が始まったというものです。

「マナー違反した輩」とされた人物は、友人たちと車でその場所に来ていたようですが、たったこれだけの内容で、場所と時間、当人とその友人たちが乗る車の車種までが特定されていきます。

各ネットサイトがまとめ始める

またたく間にその書き込みはSNSで拡散しました。するとそこから、盛り上がりを察知した敏感なメディアが、経緯や情報をまとめ始めます。

最初は、元の投稿に対するネット上の声や意見、賛否を、Twitterのコメントを引用してまとめた簡単な記事で、「今ネット上で旬の話題」と紹介される程度です。この時点では、単純に「ひどい」との声が高まるだけで、「特定」が始まるまでには至っていませんでした。

しかし、第一報の写真などと合わせて、周辺ユーザーの投稿も含めた特定材料が続々と集まっていました。そして、複数のメディアが引用し合い、拡散は勢いを増していきます。

巨大掲示板にスレッドが立つ

まとめ記事が広まると、それらの記事からネットの某巨大掲示板に飛び火。炎上による本当の恐怖のスタートです。

スレッドでも、最初は「ひどい奴らだなあ」くらいの内容でしたが、次第に憶測交じりの発言が増えていき、勝手にレッテルが張られ、果ては差別用語も飛び交う事態に。もはや元ネタが何だったかわからなくなるほど、事実無根のガセネタでスレッドは覆われました。

個人が特定される

巨大掲示板にスレッドが立ちどんどん火の手が大きくなると、掲示板の「住人」による個人情報の特定が始まってしまいました。

今回、特定作業の突破口となったのは当人ではなく友人のSNSでした。

友人のインスタグラムから特定

本人ではなく、例の「マナー違反写真」のとき一緒にいた友人の1人のインスタグラムアカウントから、個人情報の流出は始まりました。

おそらくこの人のインスタグラムは、非公開の設定になっていなかったのでしょう。その友人のアカウントから連鎖的に当人やほかのメンバーが紐付けされ、芋づる式に情報の割り出しがおこなわれていきました。

知り合いがまさかの情報投下

見ず知らずのネット民たちによる特定が進んだ中、突然信じがたい出来事が起こりました。

それは、「この人◯◯の◯◯だよね?」と、どう考えても当人の知り合いとしか思えない人物からの情報投下です。この一文に記載された実名情報をきっかけに、職業や出身地、居住地などがインスタグラムからの情報を補強するかたちで、次々に書き込まれていきました。

そして、徐々に当人の人物像に近づいていき、個人特定が完了。最初のTwitterの投稿から、時間にしてわずか数時間ほどでした。

再びまとめ

情報が出そろったところで、ネットメディアがことの顛末と特定された個人情報をまとめ、その記事が各種SNSにフィードバックされ、再び拡散されました。

さらに、この炎上劇が大手メディアに転載されると、案件はもうひと盛り上がりを見せました。ブロガーだけでなく各種有識者などがこの件に関する考察を公開し、一種の反省会のようなものがおこなわれたのです。

そこまでいって、事態はおおかた収束しました。

ネット炎上で個人情報流出を避ける方法

上記の案件のように、炎上とともに個人情報が特定され、あることないことを盛られて、それがさも本当かのような様相で拡散されてしまうのは本当に恐ろしいことです。

このような被害に遭わないためには、どのような対策ができるでしょうか。

SNS上で情報が公開されているという意識を持つ

SNSは、全世界に公開されているものです。一時的にでも自分の情報を公開したのであれば、残っている可能性もあるのです。SNS上の友人が少なくともリスクはあります。

まずは、その認識を持つことを忘れないようにして、SNSを使用しましょう。

個人情報の公開、管理を徹底する

各種SNSでは、記載する情報、公開する範囲を設定できるのが一般的です。危ない情報はそもそも書き込まない、情報を共有する相手を考えて設定するなど、基本的なことをおさえておきましょう。

先ほどの事例では、実は「マナー違反行為」と言われた本人は、悪気がなかったのでその行為を自分のFacebook上で公開していましたが、こちらの投稿は拡散されませんでした。おそらく、公開範囲の設定を「友人のみ」に限定していたため、広まらなかったのでしょう。

公開範囲を管理するだけで、大事故は防げる可能性が高いのです。怠らないようにしましょう。

炎上の場を設けない

ブログやウェブサイトなどでは、コメント欄や問い合わせフォーム、掲示板といった「炎上が発生しうるような場」を初めから設置しないのも、炎上を防ぐひとつの方法です。

また、ネット上に発言を投稿する際は、無礼・不謹慎な発言、犯罪行為の告白、価値観の押し付けや否定などはしないように注意することで、ある程度炎上を予防することはできるでしょう。

炎上させてしまったら

気を付けてはいても、思わぬところから炎上が起こってしまうことはあります。もし、炎上を起こす事態になってしまったら、個人情報が流出、拡散してしまわないよう、できる限り早く手を打つことが大切になります。

個人アカウントは削除

個人で炎上を発生させてしまった場合は、反論したくなる気持ちも起こると思いますが、それは押さえましょう。炎上が起きたツール、さらに関連付けられてしまう可能性のある他のツールのアカウントは素早く削除するのが得策です。

アカウントを削除すると「逃亡した」などの批判を受けるかもしれませんが、アカウントを残しておくデメリットの方がはるかに大きいことを知っておいてください。

放置するリスク

事例で紹介した通り、個人情報の特定は過去の投稿や関係する人たちの書き込みを手がかりに行われます。情報を辿れるツールを1分でも長く放置しておくことが、特定されるリスクを増大させるのです。
「逃げるが勝ち」。個人情報の特定で必要以上の不利益を被らないためにも、炎上が発生してしまったときは、足跡ごと消してしまいましょう。

ひとたびネット上で広まった情報は、どんなに時間が経っても完全に消えることはありません。

過去の失敗がネット上に残り続けるのは、きちんと反省している方にとっては辛いもの。炎上についても個人情報の流出についても、起こらないよう十分注意して振る舞うのが、SNSを楽しむ上で最低限のリテラシーです。

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