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ネット誹謗中傷の対策

  • 2016年11月14日 | 10,015view

ネットの誹謗中傷で訴えられた!?加害者は前科が付く前に弁護士に相談

誹謗中傷の加害者

匿名で気軽に書き込めると思い、SNSやネット掲示板で特定の個人や企業を誹謗中傷するような情報を発信すると、ある日突然相手から訴えられることがあります。刑事事件として告訴され、有罪判決が出てしまうと犯罪者として前科がついてしまいます。訴えられたときは、弁護士に相談して被害者との示談交渉で解決することを目指しましょう。

ネット誹謗中傷に強い弁護士一覧

ネットの誹謗中傷で加害者に

匿名で気軽に書き込めるネット上では、誰でも軽い気持ちから悪口を書いてしまうことがあるかもしれません。「本名じゃないから誰が書いたかわからないだろう」「事実だから悪評を書き込んでも問題ない」などと思っていたら、ある日突然相手から訴えられることがあります。

加害者になってしまうケース

飲食店などで不愉快な対応をされ腹が立った経験のある人は多いのではないでしょうか。そんな時、SNSや掲示板などに名指しでお店の悪口を書き、怒りを吐き出してしまう人が少なからずいます。また、嫌な思いをして退職した勤務先や、採用試験を受けて落ちた会社について、その企業の悪評を書いてしまう人もいるようです。

誹謗中傷したことが訴えられることも

こうした書き込みをする側に大した悪意はなかったとしても、書かれた当事者には誹謗中傷されたと受けとめられて、最悪の場合訴えられるかもしれません。このように、相手の顔を見ないまま一方的に批判を書き込めるネットの世界では、現実世界以上に誰もが加害者になってしまう危険性をはらんでいます。

損害賠償請求や刑事罰も

誹謗中傷により訴えられてしまうと、損害賠償金の支払いを命じられたり、警察に逮捕されて前科がつくおそれもあります。そうなると、軽い気持ちでやってしまった行為のために平穏な生活が一変してしまうことになるのです。

「匿名だからわからないだろう」は大きな間違い

ネット上では匿名で発言ができると思っている方も多いかもしれませんが、それは大きな間違いです。殺人予告をネットの掲示板やSNSなどに書き込んだ犯人が逮捕されるなどのニュースを見てもわかるように、たとえネットで個人の特定につながるような情報は公開していなくても、個人は特定されるのです。

犯人を見つけられるのは警察だけではない

警察の捜査で犯人が発見・逮捕されるニュースをよく目にしますが、ネット問題については犯人の特定は警察だけができることではありません。警察以外の人間でも、「プロバイダ責任制限法」で認められている制度を利用することで犯人を特定できる可能性はあります。

発信者情報開示請求

インターネットでプライバシーや著作権の侵害があったときに、プロバイダが負う責任の範囲を定めたプロバイダ責任制限法には、発信者情報を開示請求できる旨が定められています。この制度は、IPアドレスをはじめ、氏名や連絡先など書き込みをした人の情報について開示を求めることができるものです。

インターネットを使うには誰でもプロバイダ業者と契約しているので、業者が所持している情報を辿れば、個人は特定できるようになっています。当然、業者も普段は個人情報を厳重に守っていますが、相手側が法的措置に出てきたら開示しなければなりません。

発信者を特定後は訴訟に発展するケースが多い

被害者側は、権利侵害の証拠を揃えて発信者情報開示請求を行うことで書き込んだ人間を特定できた場合、その流れで損害賠償などの請求を行うのが一般的です。加害者になった立場からすれば、訴訟に発展するとどうしてよいかわからなくなるのではないでしょうか。

単なる「加害者」でなく「犯罪者」になってしまう

「訴えられる」という状態には2つの種類があります。民事訴訟で損害賠償を請求されるケースと、刑事告訴され有罪判決を受けるケースです。場合によっては1つの事案でも民事・刑事の両方で訴えられることがあります。

民事訴訟で損害賠償請求をされるケースとは

誹謗中傷行為は、民法上の不法行為(民法709条)に該当します。これを根拠に被害者から損害賠償金の支払いを要求されるのが民事訴訟です。不法行為責任の主な根拠となるものは「名誉毀損」と「プライバシーの侵害」の2つです。

名誉毀損

名誉とは、人が社会から受ける客観的評価を指します。その社会的評価を低下させる行為が名誉権の侵害にあたります。たとえば、ある個人や企業について事実無根のネガティブな情報などを書き込むと、名誉毀損で損害賠償を請求されることがあります。

プライバシーの侵害

権利侵害になるのは、虚偽の発信に限られるわけではありません。たとえ事実であっても、相手が知られたくない情報を公開した場合には損害賠償を請求される可能施があります。

裁判で支払い判決が出たら
相手から民事で訴えられる場合には、簡易裁判所か地方裁判所で損害賠償請求訴訟を起こされます。被害者側の言い分が認められると、加害者側に対して支払い命令の判決が出ますので、賠償金を支払わなければなりません。判決に従わないと、財産や給料などが差し押さえられることもありえます。

刑事告訴

相手から訴えられ、「犯罪者」として警察に逮捕される可能性があるのが、刑事告訴です。ネット誹謗中傷行為を行った場合、以下のケースに該当すれば刑事手続きで罪に問われることがあります。

名誉毀損

刑法230条の1項に、公然と事実を摘示し人の名誉を傷付けた場合には名誉毀損罪が成立すると定められています。3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されます。

侮辱罪

刑法231条には、事実を摘示しなくても公然と人を侮辱すると侮辱罪になると定められています。罪が認められた場合、拘留または科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑)に処するとされています。

信用毀損罪・業務妨害罪

刑法の233条~234条に、「信用および業務に対する罪」が規定されており、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると定められています。飲食店や会社などの悪口を書き込んだ場合、それが営業妨害行為とみなされると業務妨害罪が成立します。また、支払い能力など経済的信用に関わる悪評を流した場合は信用毀損罪に問われます。

刑事事件になれば犯罪者になる

書き込み内容が悪質だとみなされた場合は、警察に逮捕され刑事裁判にかけられます。裁判で懲役刑や罰金刑などの有罪判決が出ると、刑務所で服役したり、多額のお金を支払わなければなりません。なにより、これから一生「前科者」として生きていかなければならず、人生に暗い影を落とすことになります。

訴えられそうになったらいち早く弁護士に相談

訴えられるまでに、相手方は様々な手続きを経て誹謗中傷を書き込んだ発信者を特定しており、実際に訴えを起こすときはすでに弁護士など法律の専門家がついているなどの体制が整っていることがほとんどです。訴えられてしまった際は、こちらも早急に準備し、対策をとらなければなりません。

前科が付くタイミングとは

仮に逮捕されて刑事告訴をされたとしても、すぐに「前科者」になるわけではありません。
いわゆる「前科が付く」という状態になるのはどの時点なのでしょうか。

有罪判決が確定すれば「前科」に

刑事事件になって逮捕されると、以下のような流れで手続きが進んでいきます。

検挙(逮捕など)→送検→起訴→裁判→判決言渡し→判決確定

有罪判決が確定した時点で前科となります。一審で有罪判決を受けても、控訴(二審後の場合は上告)をすれば裁判は継続になるので、判決は次の裁判まで持ち越しです。控訴や上告をしなければ、有罪判決を受けた15日後に判決が確定します。

前科となる有罪判決とは

具体的に、前科となる判決は「死刑」「懲役刑」「禁錮刑」「罰金刑」「拘留刑」「科料刑」です。執行猶予も含まれます。

前科が付かないようにするため、示談交渉を成功させよう

示談とは、あるトラブルについて当事者同士が話し合い、加害者が被害者に対して賠償金を支払うことで和解する解決法です。刑事事件では示談ができたとしても、罪となる行為自体が消えるわけではありません。ただ、示談が成立することによって、有罪判決を受けて前科がつくことから免れることができる場合があります。

示談できれば告訴は取り下げられる

ネット上の誹謗中傷問題でよく取り上げられる名誉毀損などは、被害者側が告訴してはじめて刑事事件になる親告罪です。親告罪というのは示談によって和解が成立し告訴を取り下げてもらえれば、それ以上追及されることはありません。

示談交渉は弁護士に託すのがベスト

ネット誹謗中傷に強い弁護士一覧

民事でも刑事でも、訴えられたら示談交渉も視野に入れることになります。交渉の進め方を間違えて相手を余計に怒らせてしまったり、相手の言い分のみで和解を成立させられたりしないためにも、示談交渉を行う際は弁護士に相談して、交渉を代行してもらいましょう。

前科がつくかつかないかは、これから生きていく上でとても重大なこととなります。前科がつくことで、就職や結婚などのライフイベントに支障をきたすことにもなりかねません。もし、なんらかの原因で訴えられそうになったらすぐに信頼できる弁護士に相談し、対応策を考えることが大切です。

ネット誹謗中傷問題に強い弁護士事務所

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