ネットの誹謗中傷問題を弁護士に相談!風評被害対策費用の相場
インターネットでの誹謗中傷や風評被害対策を行うには、ITに強い弁護士に協力を求めることがベストです。しかし、弁護士費用は高額とのイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。誹謗中傷対策業者に依頼する方法もありますが、結果的に高額の費用がかかることもあるので、費用対効果の面から見ても弁護士に依頼する方がよいでしょう。
誹謗中傷・風評被害の対策としてできること
SNSやインターネット掲示板など、誰でも気軽に情報発信ができる現代社会。匿名で書き込めることを悪用して、他者を誹謗中傷するような行為も増加しています。
誹謗中傷・風評被害対策はITに強い弁護士に依頼しよう
どんなに気をつけていても、自分が被害者になる可能性はゼロとは言えません。もし被害に遭遇してしまったときには、ITやネット問題に強い弁護士に相談して対策を練ることが大切です。
誹謗中傷・風評被害による不利益を被らないために
ネット上に書かれたネガティブ情報は急速にひろまる可能性があり、社会的な不利益に直結しかねません。誹謗中傷や風評による被害をひろげないためには記事削除などの対策をとる必要があります。このような手続きを素人が自分でするのは容易ではありません。
誹謗中傷・風評被害対策は弁護士に相談を
そこで、専門家である弁護士に相談するのが対応策としてはベストです。ただ、気になるのが費用の面です。弁護士費用は高額なイメージを持つ人は多いかもしれませんが、実際には誹謗中傷・風評被害対策にはいくらくらいかかるものでしょうか。
弁護士にできることとは?
誹謗中傷や風評被害を受けて弁護士に協力を仰ぐ場合、該当する記事の削除だけでなく、発信者の特定や損害賠償請求などの対応を依頼することができます。
示談交渉だけでなく、裁判上の手続きもできる
ネット上の情報は、書き込んだ人がわからないのが通常です。そのため、まずプロバイダー責任制限法に基づき、サイト管理者などに記事の削除を求めます。求めに応じてもらえない時は裁判所に仮処分の申立てをするのも方法のひとつです。また、発信者情報開示請求をすることでネガティブ情報を書き込んだ人物を特定できる可能性もあり、発信者がわかれば損害賠償請求へとつなげることができます。
気になる弁護士費用は?
費用は、「削除依頼」「発信者情報開示請求」「損害賠償請求」それぞれの手続きにかかります。管理者やプロバイダへの任意交渉で終わるのか、裁判手続きをするかによっても変わってきます。どんなお金がどのくらいかかるのか、もう少し細かく見ていきましょう。
弁護士費用の種類と金額とは?
弁護士費用は自由化されていて、個々の弁護士がそれぞれに基準を決めるようになっています。価格帯は弁護士により様々ですが、費用項目としてはおおむね同じです。
弁護士費用の種類
弁護士に支払う費用は、大きく分けて6種類ありますが、細かく分けるともっとたくさんあります。それぞれどんな費用がかかるのかについてみていきましょう。
弁護士に支払うお金はこんなにある
法律相談料(電話やメールによる相談も含む) | 相談者が弁護士に対して法律相談をする場合にかかる費用。正式な委任に結び付く場合は無料としている弁護士も多い。有料の場合、1時間1万円程度が相場となっている。 |
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書面による鑑定料 | 弁護士が依頼者に対して、書面で法律上の判断や意見を表明する場合の費用。 |
着手金 | 事件等を受任する際に弁護士が受け取る費用。基本的には結果の如何に関わらず返金されない。 |
報酬金 | 結果の成功程度に応じて弁護士が受け取る費用。多くの事務所で着手金を基準に決定されている。民事訴訟の場合、それぞれの事務所で報奨金規定が決められている。 |
手数料 | 1回程度の事務処理で終了する事件等について発生する費用 |
実費・日当 | 実費は事務処理のため実際に出費されるもの。具体的には印紙代や切手代、記録謄写費用など。事件によっては、交通費、宿泊費、裁判所への日当がかかる。 |
削除依頼の手続きと費用
書き込みした本人に削除依頼ができない場合は、サイト管理者やプロバイダーに削除を依頼します。業者が削除に応じれば問題解決となります。
手始めにすることは
手続きとしては、まずはサイト内から、運営会社名や所在地など削除依頼先の詳細を調べます。ページ内にサイト運営会社に関する記載がなければ、IPアドレスやドメイン名の登録者などに関する情報を参照できるサービスを利用して、サイトを管理している会社をつきとめます。
送信防止措置依頼をする
サイト管理者や運営者がわかればそこに任意削除依頼をしますが、この手続きを「送信防止措置依頼」と言います。「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」を作成し、プロバイダーに送信します。
これらの手続きにかかる費用は、着手金5万~10万円程度と報奨金0~10万円程度です。
相手方が応じなければ仮処分の申立て
相手方が送信防止措置依頼に応じてくれない場合は、裁判所に削除仮処分の申立てを行うことができます。申立書を作成し、こちらの主張を裏付ける証拠とともに裁判所に提出するのが手続きの流れです。
このときにかかる費用は、日本のサイトの場合で着手金20万円程度、報奨金0~15万円程度、海外サイトの場合は着手金30万円程度、報奨金0~30万円程度になります。
発信者情報開示請求の手続きと費用
ネット上に書き込まれた投稿によって、名誉権やプライバシー権が侵害され、相手を訴えたいと思った時には、犯人と特定する必要があります。匿名性の高いインターネットの世界では、サイト管理者やプロバイダーに情報を開示してもらわなければなりません。
発信者情報開示請求手続きをする
書き込みをしている人物を特定する手続きを「発信者情報開示請求」と言います。
最初に、ホスティングプロバイダからIPアドレス等を開示してもらい、次にその情報をもとにインターネットサービスプロバイダに対して契約者情報の開示請求をするという流れになります。任意開示請求にかかる弁護士費用は、着手金5万~10万円程度、報奨金0~15万円程度です。
応じなければ仮処分申請もしくは訴訟へ
応じてくれなければ、通常削除依頼と同時に仮処分の申し立てを行うか、訴訟を起こすことになります。訴訟の場合、依頼者側が勝訴すれば開示してもらえます。
仮処分の費用は、日本サイトで着手金20万~30万円程度、報奨金0~20万円程度。海外サイトで着手金30万~40万円程度、報奨金0~30万円程度です。訴訟の場合は着手金20万~30万円程度、報奨金0~20万円程度になります。
損害賠償請求の費用について
ここまでの手続きで発信者が誰なのかがわかれば、損害賠償請求もできます。お店の売上が落ち込むなど、営業妨害につながる場合は損害賠償請求をすることが損失を補填するための手段のひとつとなるでしょう。
発信者が特定できた場合に請求できる
書き込んだ人物が特定できたら、損害賠償請求をすることができます。損害賠償は発信者に直接請求しますが、交渉がうまくいかなければ訴訟を提起して請求します。
交渉の場合は着手金10万~20万円程度、報奨金0~20万円程度(和解額の16%)、訴訟の場合は着手金20万~25万円程度、報奨金0~30万円程度(判決認容額の16%)の費用がかかります。
報奨金が「0円」の意味
報奨金を「0円」としているところは、着手金が高めに設定されているのが一般的です。例えば、「報奨金が10万円のところは着手金が10万円」、報奨金が0円のところは「着手金が20万円」といったように、トータルで見ると変わらないことが多いです。
削除依頼から損害賠償請求訴訟までの費用はどれくらいかかる?
ここまで項目ごとの手続きと費用について見てきましたが、では、削除依頼から損害賠償請求までをすべて弁護士に依頼した場合、全体でどのくらいかかるのでしょうか。
具体的にシュミレーションしてみよう
削除依頼から損害賠償請求訴訟までにかかる諸費用のイメージは、以下のとおりです。弁護士に相談する際には、以下を参考にしてみてはいかがでしょうか。
事例:弁護士に誹謗中傷する記事の削除と発信者の特定を依頼
弁護士がサイト管理者に連絡し、削除を依頼したところ、サイト管理者が削除に応じた。弁護士が今度はプロバイダーに情報開示請求をしたところ、プロバイダー側が応じなかったため訴訟を提起。無事勝訴したため、プロバイダーから発信者情報を開示してもらうことができて発信者も特定できた。そこで発信者に対して損害賠償請求訴訟を起こし、50万円の損害賠償金を受けることで和解した。
着手金 | 10万円 |
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実費(郵便代、通信費) | 1万円 |
プロバイダへの開示請求仮処分(着手金) | 20万円 |
実費(裁判費用) | 3万円 |
犯人特定の成果報酬 | 15万円 |
損害賠償の訴訟着手金 | 10万円 |
実費 | 1万円 |
損害賠償の報酬(50万円の16%) | 8万円 |
合計 | 68万円 |
弁護士に依頼すれば余計な費用は不要
上記シュミレーションはあくまで一例であり、実際にかかる細かい費用については弁護士や弁護士事務所によって異なります。
弁護士事務所によりかかる費用は様々
報奨金は取らず主に着手金で対応しているところ、別途手数料が発生するところなど様々ですので、予備知識を持った上で、依頼する前によく確認することが必要です。各項目ごでなぜこれだけの費用がかかるのかにつき、しっかり説明してくれる弁護士を選びましょう。
誹謗中傷対策業者に依頼する場合は費用対効果が不明
誹謗中傷対策お行う民間の業者もあります。しかし、そのような業者では削除にかかる時間が読めず、多額の費用だけがかかってしまう危険性があります。弁護士費用は一見高額に感じるかもしれませんが、弁護士はプロバイダーや発信者に直接アプローチすることができるので、結果的に費用対効果は高くなります。風評被害対策はスピード感や確実性が大切になるので、費用対効果をよく考えましょう。
ネット問題に強い弁護士の中には、「風評被害コンサル」として月額の顧問契約を結べるところもあります。風評被害に関するコンサル、検索結果の定期レポートの送付などで、誹謗中傷や風評被害の未然防止・早期発見をサポートしてくれる弁護士もいますので、ITに強い弁護士と顧問契約してみるのも良いかもしれません。